2008年 02月 15日 ( 1 )

俑 2

 
 初めて目にした上海はそれはそれは大きく、人々は元気で力強い、そんな印象を私に与えた。
 さて、私はとりあえず観光に出かけることに。目指すは預園。この預園は上海では大変有名な建物で、中でも庭園が見事であるらしい。しかも近所には有名な小龍包の店もある。ここまで聞くと是非ともチェックしておこうと思うのが人情ではなかろうか?
 初めての町ではすぐに地図を買い、歩く。これが私のスタイルである。地図によると、ここ浦東のホテルから預園まで、まあせいぜい徒歩1時間くらいだろうと、勝手な計算をして歩き始めた。
、、、、、、結果、遠い。更に迷う。しかしここで付け加えるなら、これは私にとっていつものことなので、余り辛くはない。しかしなんといっても距離は大幅に目算がくるっていた。角から角までが非常に長い。まったく日本と比較にならない。これには少々参ってしまった。

 そんなこんなでたどり着いた預園はガイドブックのふれ込み通り、非常に素晴らしいものでありました。見学し終わり外へ出ると、土産物が所狭しと並んでいた。看板を見ていくと中にあるある、骨董屋。大きなショッピングモールのような建物の地下に、骨董街が存在していた。
 
 こうなると俄然元気が出てくる。自分でもたまに『これは完全に病気だな』と思うことがあるが、この時もまたそんなことを考えた。しかし嬉しさを抑える事は出来ず、早速中へ入り、一軒一軒見て歩くことにした。
 まだ骨董の知識が余りなかった頃でもあり、とにかく気に入ったものでもあれば幸いと覗いて歩く。すると一軒、明らかにコピーと思われる俑をズラッと並べた店があった。私は何か面白い俑はないかと眺めていると、店の主人が
 「君は俑が好きなのか?」
と、尋ねてきた。私は
 「いやなに、ちょっと面白いものがないかと思ってね。」
なんて具合に流してると、主人が
 「奥にもあるぞ。」
と言って、奥へ案内してくれた。するとそこにあったのは明らかに発掘の俑、時代は唐の物が
トイレットペーパーの上に寝かされて大量に置いてあった。私はびっくりして、
 「ご主人、これはいくらですか?」
と尋ねると、これこれこうだと値段を教えてくれた。
 私は更に驚いた。というのも表のショウウインドウに飾ってあるコピーの方が遙かに高いのだ。しかも安い。日本では考えられない値段である。私は官女と武人、この二つを頂くことにした。
買うと言った後で主人に、
 「私はあまりよくわからないけれど、こちらはオリジナルで表の商品はコピーのように思うんですが、なんでこちらの方が安いのですか?」
と聞くと、
 「よく分ったね。そうだよ、こっちが本物さ。だけど最近の人は奇麗な方が好きなんだ。こんな泥だらけで、あっちこっち直してあるものより、よっぽどものが好い、と言うんだよ。俺には傷もんでもこっちの方がいいと思うがね。」
主人は少し寂しそうに、そう打ち明けてくれた。なるほど、時代か。そんなことを思いながら店を後にした。

 あれから一年後、日本に帰り私の社長に見せてみると、
「こりゃあ、傷が多いから高いことは言えんぞ。」
 といわれ、しかし
「ものは間違いない。」
 と教えられた。
 私は嬉しい反面、この事実を聞いて、あの時の主人の顔が浮かんできてなんとも言えない気持になった。

 本物より、コピーのほうが高い。そんなことがあの場所では起こっていたのだ。

 
 ちなみに上海を後にした私は、長沙あたりで体調を崩し、急ぎ飛行機で昆明まで帰りました。
結果、6日間の旅でした。
 また上海へ行くとこがあれば是非また寄ってみたいものだ。あの店はまだあるのだろうか? 
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by harakobijyutu | 2008-02-15 13:44