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大雨

 
 9時前に降り出した雨。非常に激しく外へ出る気さえそがれる。
 「今日は誰も来ないだろうな、こんな天気じゃ、、、」 
 そんなことを思いながら外を眺めていた。シャワーのように振り続ける雨、見ていて少し面白い。しかし、、、、、

 少し気になり店のドアを開けてみた。、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、

 目の前に広がっていたのは川、多くの行きかう車が小さな漁船のようでもあり、その彼が通過するたびに広がる波が更なる危機を当店へ招いていた。
 これはウカウカしている場合ではない。玄関の段差1センチ下にまで水は迫ってきている。しかし、瀬戸内温暖気候ど真ん中でのんびり育ってきた私たちにとっては、ほとんど初めての天災であり、一体どこから準備をすればいよいのか見当もつかず、とりあえず店のマットをはがす。濡れてはいけない商品を上へ運ぶ。そして急きょ用意した、全く量の足りない土嚢を積み、
隙間にバスタオルを敷きつめ、いざ。もうあとはただ眺めるくらいしか思いつかなかった。

 しかし、この眺めが功を奏したのか、雨は止み、ゆっくりと、しかし確実に水は引いて行った。

 良かった、店は無事だ。被害は最小限と呼べるであろう。その後、家族と昼を食べに外へ出ると、数々の商店から激戦の傷跡がうかがわれた。ある店は水浸しのまま営業を再開し、またある店は臨時休業と。

 みなさんも雨には注意してくださいね。
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by harakobijyutu | 2008-08-29 18:42

「はだか」

 
 「ええか、道具を見るということは『そのもの』を見るということで、箱書きや、来歴、ましてや落ち札なんかを見るんとは違うど。そんなもんはほっといて、『はだか』の道具を見んといけん。」

 私の祖父、彼はよくこのように言って私に古美術の見方を教えてくれた。

 「ええ道具は『はだか』で置いてあってもええ。そのものズバリじゃけぇ。」

 話を聞いてる時はいつもその通りだと思って、これからはそのようにしようと心に決める。しかし実際ものを買いに行くと、やっぱり周りにも意識が入ってしまう。聞くとやるとでは大違いであり、決心が鈍る。
 以前こんな風に言って聞かされたこともある。

 「お前はものを眼で見て買っとんか?耳で見て買うとるのとちがうか?」

 何とも言えず、言葉に詰まった。

 そのものを見る。この業界に身を置く以上、これほど大事で、これほど難しいことはないように思える。

 

 そんな祖父が病に倒れた。以前手術を受けた付近からの出血が激しく、下血、緊急入院である。お医者の見立てではもう長くはもたない、とのことであった。私はできる限り動揺を抑え、覚悟を決めようと努めた。
 
 祖父は現在合計で2400ccの輸血を行っている。人の血で命を存えている状態だ。それでも彼は輸血が終われば家に帰り、風呂に入ったり、店に顔を出したりもする。たしかに昔と比べると体は痩せ細り、歩き方も弱々しい。しかし骨董のこととなると頭の回転は昔と変わらず、話し方も普通だ。
 もうすぐお医者さんが見立てた時間が過ぎようとしている。

 下血、緊急入院、2400ccの輸血、お医者さんの見立て、どれもが祖父の今の状態を考える上で外すことのできない事柄であると同時に、彼の今現在を私にとって曇らせて見せるものでもある。
 
 私は最近になって急にこんなことを考えるようになった。

 私は『はだか』の祖父、彼を見ているのだろうか。確かに彼は人の血をもらっているが、命は彼自身のものではないか。私は彼をそのままで受け入れて、その上で彼に接しているのであろうか。非常に難しいことだけれど、非常に大切なことであろう。

 これから祖父が一体いつまで私の傍にいてくれるのかは分からない。けれどその間、私は精一杯、彼のそのまま、『はだか』を見て付き合っていきたいと思っている。
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by harakobijyutu | 2008-08-25 16:45