リーマンショック

 TVを見ていると、派手な電飾の外壁に彩られたNYのビルが映った。リーマンブラザーズの本社ビルである。多額の負債を抱え、とうとう破産した、とのことであった。

 「あ、ここ僕知ってるわ。」頭の中でそう呟いた。

 そう、私はこの3月、NYに居た。その日はクリスティーズのオークションのあとで、同業者の人と一緒に近くのコーヒーショップで一服をしていた。
 道を挟んで向かい、派手な電飾に彩られたリーマンの本社が建っていた。
 「しかしあの向かいのビル、えらい派手ですよねー。」
と、私がつぶやく。すると同業者の彼も、
 「ほんま、えらい派手やなー。」
そんな何気もない会話をしていたことを思い出した。

 あの時、私は古美術を買うのに非常に苦労をしていた。世界中から集まるバイヤー、美術商、富豪。中国人の底が見えないほどの買いっぷり。私はひょっとして手ぶらになるかも知れない。そんな弱気な気持ちにもなっていた。そんな時目にしたリーマンのビル。そこから下がるとすぐにあらわれてくるタイムズスクエアの喧噪、何もかもが煌びやかで、街中がお祭りのようで、弱気な私にはかなりキツイものもあった。

 しかし現実には半年後、リーマンは倒産、アメリカ経済は大きな危機に立たされている。無論日本へも影響が来そうなほどの大きな危機だ。一体あのお祭りのような街は何なのだろう?
酷く実態と離れたものなのだろうか。ではあそこで見た景色は虚構のようなもので現実を伴っていないのか?そんなことはない、あれはあれでそこに存在していた事実である。しかし、本質では無いのかもしれない。

 つくづく本質を見抜く、と言うことは難しいものなのだろう。
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by harakobijyutu | 2008-09-21 13:01